大年寺由緒

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大年寺惣門

大年寺惣門(仙台市指定文化財)

黄檗宗の名僧  鉄牛禅師が開山

 元禄9年(1696)11月、第四代仙台藩主伊達綱村公が鍬入れの式を行って茂ケ崎の地を拓き、宮城郡若林にあった廃寺小蓬山仙英寺の遺址を此処に移して新たに堂塔を建設し、両足山大年寺と號しました。同10年(1697)、下総國向島弘福寺普應鐡牛和尚を請うて開山始祖とし、8月、落慶の祝典を挙げました。
その後、第七代覺天和尚の時、享保14年(1729)に山門建立、同16年(1731)佛殿竣成。北に般若峯、南に憚那嶺があり、山城本山に擬して建てたという七堂伽藍は結構荘厳、精彩巧緻の一大偉観を極め、山内に堂塔二十余宇、黄檗宗日本三大叢林(そうりん)中の第一位に挙げられております。
大年寺惣門 綱村公以後の霊廟を司り、藩からは一門格の処遇を受けて、寺領二百石、外に禅堂僧糧廩米(りんまい)百石、霊廟供料廩米七十五石、祠堂金若干を附せられていました。

 歴代住職も開山鐡牛和尚より現住まで三十三代を数え、第九代仙巌元蒿、第十五代蒲庵淨英、第二十代梅岳眞白の各住職は、いずれも本山の管長となっています。
 しかし、明治維新後藩の庇護を失い、堂宇頽廃に傾き、可惜名刹は僅かに吉村公の建立にかかる惣門を残し一区の景勝地を占むるのみとなりました。

 只、唯一の遺構である惣門は、五つの切妻屋根を有し、外観的には高麗門の形式を左右に複雑にしたもので、建築年代は享保元年(1716)と推測されます。
前には、皷山道霑筆の「東桑法窟」の額を掲げ、昭和60年に仙台市指定文化財とされています。

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塔頭

 元禄から寛永、正徳、享保に至る伊達綱村・吉村時代が当寺の最も隆盛を極めた時代で、二十塔院が開基されましたが、安永から幕末にかけて残存していたのは十八塔院。
何れも明治維新後に頽廃、悉く廃寺となってしまいました。

  • 大幻庵

    第四代綱村の霊廟守護として享保4年(1719)慧林和尚に創建。寺内塔頭巡寮僧輪番として廩米十五石を寄附された。

  • 壽仙院

    第六代宗村の霊廟守護。延享4年(1747)創建遷厳和尚の開基。寄附十五石の地。

  • 小林院(開山堂)

    元禄16年(1703)の創建。薬師佛を安置したが、右は廃寺少林(若林)小蓬山仙英寺の本尊であった。寄附五十石の地。開山堂・大師堂ともいった。

  • 心定院

    延享4年(1747)の創建。遷厳和尚の開基。第五代吉村の第2女心定院殿の霊牌を安置し、二十石の地及び祠堂金若干を寄附された。

  • 松濤院

    享保3年(1718)の創建。香國和尚の開基。寄附祠堂金若干。

  • 大千院

    享保4年(1719)の創建。泰嶺和尚の開基。寄附二十石の地。

  • 活龍院

    享保3年(1718)の創建。慧林和尚の開基。寄附十五石の地。

  • 四天王院

    享保9年(1726)の創建。高泉和尚の開基。寄附十五石の地。

  • 勝福院

    寛永4年(1707)の創建。千泉和尚の開基。寄附十五石の地。

その他、晋門院・頂王院・天遊院・掌月院・徳本院・西來院・晏花院・大眞院・福寿院・大光院・岩松軒・觀陵軒・慈恩院・含章庵・玉笛院等の塔頭がありました。